法人設立で相続対策?相続税対策で会社を設立するメリット・デメリット
記事の最終更新日:2016年07月07日
カテゴリ:会社(法人化)
法人を設立させることによって、個人の資産を分散させることができ、なおかつ合法的な手続きで将来的には相続財産となるべく財産を移転させることができます。
法人化によって、会社の仕組みを利用して財産を移転させているだけなので、グレーな行為をしているわけではありません。
こうした、法人化による相続税の節税対策は近年注目を集めています。今回は、法人設立によって相続対策ができる理由をご紹介します。
法人化は相続対策には有効じゃ。しっかり勉強して取り組むとよいぞ
相続税対策で会社を設立するメリット
相続税だけでなく贈与税を節約して資産移転
そもそも法人設立によって相続税を節税できるメリットというのは、贈与税を支払うことなく、後継者への財産移転を行えるという点です。
多数の資産を持つ本人が事業所得や不動産収入を得続けていては、相続が生じた際には多額の相続税が発生してしまうことになります。
しかし、法人化をし、会社の仕組みを利用した財産移転をすることによって、相続税だけでなく贈与税までカットすることが可能となるのです。
会社として役員報酬を支払うことで財産移転
法人化をしてしまえば、役員(被相続人となる本人以外)に対して、給与を支払うことによって財産移転を円滑に行うことができるようになります。
これによって相続財産が減っていくことになるので、相続税対策もばっちりというわけです。
正当な業務を行った上での給与であれば、親から子への支払いであったとしても、これは贈与には該当しません。相続税、贈与税と、まさに両得の財産運用といえます。
退職金等も経費計上できる
個人事業主では「退職」という概念がないため、退職金を経費として計上することはできませんが、法人は可能。退職金は所得税でも優遇されているので、より相続税を節税することができます。
退職金は、「退職所得控除」という給与所得とは異なる控除額が設定されています。勤続年数等によって控除額が異なります。
【退職金控除】
(収入金額 - 退職所得控除額)× 1/2 = 退職所得の金額
※ 勤続年数が5年以下の法人役員は 1/2をかけません。
勤続年数 | 退職所得控除額 |
---|---|
20年以下 | 40万円×勤続年数(最低80万円) |
20年以上 | 800万円+70万円×(勤続年数-20年) |
例えば、15年6か月働いて、退職金を1,500万円をもらったケースでは、退職所得の金額は430万円です。
★ 計算式 ★
(1,500万円 -(16年×40万円 = 640万円)× 1/2 = 430万円
1500万円が430万円になるなんて、すごい!
退職所得は一般的な給与所得と異なり、控除額も大きくなっています。相続対策としては、ぜひ、有効活用していきたいですね。
通信費や移動交通費、宿泊代も経費計上できる
携帯電話やインターネット代などの通信費や、車、電車の交通費、ホテルなどの宿泊費も、事業との関連性があれば経費計上することが可能です。
法人用の生命保険を活用した相続対策もできる
法人で生命保険契約を行うと個人契約とは異なるメリットもあります。例えば、弔慰金。会社経営者が死亡したとき、残された家族へ会社から弔慰金を支給することができます。弔慰金は既定の上限金額を超えるまで非課税となります。
★ 上限金額 ★
被相続人の死亡が業務上の理由で死亡・・・・給与3年分
被相続人の死亡が業務外の理由で死亡・・・・給与6か月分
また、退職手当金には非課税枠が設定されています。相続人ひとりあたり500万円となっているため、相続税を支払う現金の確保に役立つでしょう。
相続税対策で会社を設立するデメリット
それでは、相続税対策で会社を設立する際のデメリットも確認しておきましょう。
法人税など費用が発生
法人化すると毎年支払わなければならない税金があります。法人地方税の均等割です。これは、赤字の年であっても最低7万円は発生します。
経理など事務作業が発生
法人化すると会計処理は会社法に基づき処理をしなければなりません。経理の事務作業など手続き処理の手間が発生します。
法人の事業廃止には登記費用が発生
法人の場合、閉鎖するときも清算手続きが必要。解散登記にも費用が発生します。
株主構成や経営権をめぐりトラブルに発展してしまう可能性
相続人で役員になった場合、株式保有数や経営方針の考え方の違いにより、トラブルになってしまう可能性もあります。相続人にとってベストな方法をよく話し合いをしながら決めていけるとよいでしょう。
相続対策としての会社設立の方法
会社設立自体は難しい手続きは不要です。資本金のハードルも下がり、法人化することの敷居は低くなっているのが現状。ただし、相続対策として会社設立をする際には、気を付けておきたいことがあります。一般的に、相続税対策として法人設立を行う方法をご紹介します。
会社設立の手続きは難しくないのじゃ。法人の印鑑を準備して書類を提出すれば1週間程度で手続きを完了することができのじゃ
資本金は1000万円未満に
資本金は1円から設定が可能。いくらでも問題ありませんが、節税を考えるのであれば資本金は1000万円未満に設定しましょう。1000万円を超えると、設立した初年度から消費税の申告が必要になり、法人地方税も高くなってしまいます。
資本金は50万円~100万円程度でいいのね
相続人が株主に
相続人が株主になりましょう。株式が相続財産となります。相続人が同じ割合で株式を保有することも、割合を変えて保有することも問題ありません。
法人化するときは、本人(被相続人)は株主になってはいけないのじゃ
相続税対策として会社設立をするときの注意点は、会社の株主に本人(被相続人)を含まないことです。もともと資産を持っている本人が株主になってしまうと、その所有株式分が相続財産として算出されてしまうので要注意。これでは法人化をして、財産移転をするという目的を果たすことができなくなってしまいます。
たとえば、不動産管理会社を設立するのであれば、本人は不動産などの高収益財産を売買などで資産を設立した会社に移転し、そこから会社の運用資金を捻出することが重要です。
相続人全員を役員に
相続人に役員報酬を支払うことができるため、一般的に相続人は全員役員になっておきます。社員(従業員)ではないため、労働時間や勤務地の拘束はありません。
相続税対策として会社設立する場合は専門家へ相談を
節税対策という意味では、非常に有用な法人設立ですが、法人設立というのは単純なものではなく、どのように運営していくのかが大切。個人の保有資産をどこまで移行できるのかシュミレーションを行わないと、上記のようなメリットがあまり享受できないケースもあります。
相続税対策として法人設立を検討している方は、一度、専門家に相談をしてみて判断されることをおススメします。
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記事の最終更新日: 2016年07月07日