絶対に遺言が必要な人とは?トラブルを防ぐ遺言書を残そう
記事の最終更新日:2016年04月21日
カテゴリ:遺言書
相続時は、遺言(遺言書)があった方が相続手続きをスムーズに進めることができ、遺言によって争族を防ぐこともできます。
特に下記のような方は遺言書を作成しておいた方が良いでしょう。
もくじ
夫が妻(配偶者)に全財産を相続させようと考えていたケース
A夫妻の状況
- 夫が先に死亡
- 妻が生存
- 夫の姉が生存
- 両親と子どもはいない
両親も、子どももいないA夫婦は、お互いに「どちらかが先に亡くなった場合は、全財産を配偶者に残そう」と約束していました。
夫には、姉(兄弟)がいたものの、昔から仲が悪く長年連絡をとっていませんでした。
このような状況において、突然、交通事故に遭遇し、夫が死亡。妻が相続手続きを進めることになりました。
当然のように、妻は夫の全財産を相続できると思っていましたが、姉が相続財産の分配を請求してきました。
※妻や夫、子どもや血のつながった親族には、法律で相続するべき割合が決まっています。この人たちのことを法定相続人といいます。この場合、夫の姉ということなので、第3順位=4分の1の法定相続分を分配すべきとされています
妻は「夫が、全財産を自分(妻)に譲渡する、と生前から約束していた」と主張したものの、法律上、この主張は認められませんでした。
そして、姉にも、4分の1の財産を相続する権利が認められていることを、後々知ることになりました。
いくら夫と約束をしていたから、と言っても、口約束は「遺言」とは認められないため、姉にも相続する権利が法律上発生することになります。
もし、このような場合で遺言書を作成していれば、姉には法律上、認めれている相続権(遺留分)がありません。遺言があれば生前の夫婦の約束通り、全財産を妻に残すことが可能だったのに……。
被相続人と同居していた相続人と、別居していた相続人がいるケース
Bさん一家の状況
- 親が死亡
- 親と同居し、世話をしていた長男
- 親と別居して、全く世話をしていなかった次男
長男は「自分が親の面倒を見ていたのだから、多く相続するのが当然」と主張。
次男は「法律上、同じ相続割合だ」と主張。
親と同居し世話をしてきた長男がより多く相続財産を分配したいと、被相続人(亡くなった方)は考えると思います。
しかしながら、遺言書がないと、法律上は同じ「相続順位の相続人」と判断されてしまいます。
このようなケースは、よくトラブルに発展します。
遺言書がなければ、法律に従い相続財産を分配するしかありません。
親族同士の悲しい争いを防ぐためにも遺言書を準備しておいた方が良いでしょう。
前妻の妻との子と、現在の妻の子が相続人のケース
CさんDさんファミリーの状況
- 夫が死亡
- 妻が生存
- 夫の前妻(Dさん)の子供と現在の妻(Cさん)の子供が生存
このような場合、相続割合は、現在の妻が2分の1、前妻の子が4分の1、現在の妻の子が4分の1となります。
遺言書がない場合、現在の妻とその子ども、前妻との子どもの3人で遺産分割協議を実施。
ただし、前妻の子どもが未成年の場合には、法定代理人として前妻も遺産分割協議に参加することになります。
同じ旦那を持った女性同士の話し合いは、円滑に進むはずがありません……子どもにも大きな影響を与えるでしょう。
なかなか当事者同士の話し合いで解決することが難しいため、遺言書で、明確に遺産分割方法を指定しておくことが得策。
遺言書ひとつで争いが回避できるのであれば、その投資は家族の幸せのために必要な経費と考えられるでしょう。
会社を経営している方
Eさん一族の状況
- 父親が起業
- 長男と次男も経営に参画
- 父親は、将来は次男に会社の経営を任せたいと思っている
- 次男も、将来は親の会社を継ぐことを見据えて働いている
父親が亡くなり相続手続きを進めていくなかで、長男が「自分が会社を継ぐ」と主張したような場合、長男と次男の争いは当事者同士で解決することは難しいでしょう。
会社経営となると、社員や関係者を含め、多くの方に影響を及ぼすことになります。
遺言書があれば、父親の意向に沿って経営を引き継ぐことが可能です。
リスクマネジメントとして、経営者は生前から、しっかりと準備をしておきたいですね。
関連記事:経営者は事業承継で相続税対策
その他、遺言書を作成すべき場合
兄弟姉妹の仲が悪い
遺産分割で揉めてしまうことが明らかなので、遺言があれば争いを回避できるかもしれません。
子供がいない
それぞれの両親や兄弟が相続人となって話し合いが必要になります。
配偶者がいない方
第三者に譲渡する場合など、周囲の理解を得るためにも遺言書の活用をおすすめします。
不動産を所有している方
分割することができないので、争いの対象となることが多い財産です。
関連記事:不動産の相続対策一覧
内縁関係の方に相続させたいと考えている方
婚姻関係にない方には、遺言書なくして遺産相続させることは不可能です。
自分の葬儀やお墓にこだわりがある方
葬儀のやり方や、お墓建設に対しても遺言で指定することができます。
遺言書1つで、争いを防げたり、解決できる問題がたくさんあります。
「備えあれば憂いなし」遺言書をうまく活用し、良い関係を築いていきたいものですね。
相続税対策や遺言書でお困りの方は、相続対策コンサルタントにご相談ください
遺言書を開封してしまったら、どうすればいいか?
遺言書を勝手に開けて、読んではいけません。
とはいえ、遺品を整理している途中「遺言書」なんて書かれた封筒を見つけたら、誰もが、読んでしまいたくなりますよね。
ということで、今回は
1、もし、遺言書を開封してしまったら、どうすればいいか?
2、家族が遺言書を開けてしまわないようにする工夫
をご紹介します。
遺言書は、遺言を書いた方の最後の住所地の家庭裁判所に持っていき、検認を受けることで、はじめて中身を確認することができます。
遺言書を開封すると、裁判所から5万円以下の罰金を取られる場合があり
隠したままでいたり、破いたりすると、相続人欠格と言って、相続を受けることができなくなるそうなので、注意しましょう。
遺言書を開封してしまった場合、そのまま裁判所に持っていきましょう。
遺言の内容を勝手に変えたりしていなければ、効力が変わることはありません。
2、家族が遺言書を勝手に開けてしまわないようにする工夫ですが
これは、遺言書をマトリョーシカのようにすれば良いのです!
遺言書と書いた封筒の中に、本物の遺言書(封筒に入れたもの)を入れ封筒
「こっちが本物。本物の遺言書は、裁判所で検認という手続きをしてもらいなさい」
といったメッセージを添えれば、間違えて開けてしまっても大丈夫。
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