遺言執行者とは?遺言執行者の平均報酬はいくら

遺言執行者とは?

遺言執行者とは遺言の内容を実現する者のことで、一般的に銀行や法律の専門家である弁護士、司法書士等や、一般の相続人も遺言執行者になれます。

遺言書を作成する際に、弁護士や司法書士へ遺言書作成を依頼して、あわせて遺言執行者に指定されることがよくあります。
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遺言を残すだけでは遺言内容を実現できないのじゃ

遺言執行者は遺言書に書かれている内容に沿って具体的に実現していく人です。相続人の代理人として相続財産を管理したり、不動産の名義変更など各種手続きを行います。遺言執行者の選任方法は2種類。遺言書で遺言執行者を指定する場合と、家庭裁判所より選任されるケースがあります。

そして、遺言で遺言執行者を定める場合は、報酬額も遺言で指定することができます。また、家庭裁判所で遺言執行人を選任する際は、家庭裁判所が報酬を決める場合もあります。

民法 第1018条
家庭裁判所は、相続財産の状況その他の事情によって遺言執行者の報酬を定めることができる。ただし、遺言者がその遺言に報酬を定めたときは、この限りでない。

【参照記事】遺言執行者を家庭裁判所へ申立てを行う方法

なぜ、遺言執行者を選ばなければならないの?


なぜ、遺言執行者が必要なんだろう?

相続手続きでは相続人だけでできるものと、被相続人(亡くなった方)の代理人として遺言執行者が行わなければならない行為があります。
せっかく遺言書があっても遺言に書かれていることを実行する人(=遺言執行者)がいなければ、遺言の内容を進めることができません。

また、相続人が複数人いる場合は、書類作成や署名押印の手続きが煩雑になる傾向があります。遺言執行者を選任することで遺言執行者が相続人の代表としてひとりで手続きを行えることが増えます。準備書類の削減等により相続手続きにかかる時間を短縮することが可能。

遺言書作成時に、遺言執行者も定めておくと相続人の負担を減らすことができるでしょう。

遺言執行者のみが執行できるもの

  • 認知
  • 相続人の廃除、または、取消し
  • 遺言執行者が市区町村に戸籍を届け出ることで子の認知を行うことが可能。また、家庭裁判所へ申し立てを行い相続人の廃除・取消しを行うことができます。これらは遺言執行者が単独で行うことが可能です。

    遺言執行者 or 相続人が執行できるもの

  • 遺贈
  • 遺残分割方法の指定
  • 寄付行為
  • 名義変更手続き、解約手続き
  • 上記は遺言執行者もしくは相続人全員で手続きを進めることが可能。相続人全員の同意が得られない場合は遺言執行者が必要となります。

    ただし、遺言で遺言執行者の指定がある場合は、相続人が遺言執行を行うことはできません。

    また、不動産に関しては取得者が名義変更の登記申請を行うか、司法書士に委任して司法書士が登記申請することになります。遺言執行者自身が登記申請を行ったり、司法書士に委任をすることはできません。


    不動産の登記手続きが発生する場合は、司法書士に相談するのじゃ。司法書士が遺言執行者になることもできるぞよ。

    登記申請、司法書士に遺言執行を依頼したい方はこちら

    遺言の執行が不要なもの

  • 相続分の指定
  • 遺産分割の禁止
  • 遺言執行者の人数

    遺言執行者は複数人指定することも可能です。

    遺言執行者になれない人

    未成年者や破産者は遺言執行者になれません。

    遺言執行者を指定するときの注意点

    遺言執行者は相続の専門家である弁護士、司法書士だけでなく、法人(信託銀行)や、相続人、受遺者も指定することができます。ただし、相続手続きを進めるのは、さまざまな利害関係が複雑に絡むことが多く、他の相続人への配慮も大切です。このため、利害関係がなく相続の知識を持っている専門家に依頼することが一般的。相続人間で利益が相反する場合でも、第三者の立場から公平に実行してくれる人を遺言執行者として選任することが大切です。

    遺言執行者が行うこと

  • 遺言書の控えを添付し、相続人や受遺者に遺言執行者であることを通知
  • 財産目録を作成。受遺者に遺贈を受けるかどうかの意思確認を実施
  • 遺言による認知があった場合、市区町村へ戸籍の届出を行う
  • 遺言書で相続人を排除する内容があれば、家庭裁判所へ相続人廃除の申し立てを行う
  • 登記手続きの手配。司法書士と連携。
  • 遺言通りに財産の引渡し、分配。名義変更手続きを行う。
  • 相続財産の管理、その他遺言の執行に必要な行為
  • 遺言執行者は上記を行います。相続財産の管理や、遺言の内容を執行するのに必要な行為の権利・義務を持っています。遺言執行者がいる場合、相続人は相続財産の処分や、その他、遺言の執行を妨げるような行為は一切認められていません。仮に、このような妨害行為を行ったとしても、その行為は無効であり認められていません。

    遺言執行者を第三者に依頼するメリットとは?

    遺産執行は相続人でも行うことができます。しかし、相続人間で利益がぶつかることも多く、相続人同士の関係が悪くなってしまうケースも多いのが現状。相続人で争うことになってしまうと相続手続きをスムーズに進めることが難しくなってしまいます。
    ただでさえ、膨大な手続きを行わなければならない遺言執行手続き。専門家である第三者に遺言執行を任せることによって、効率的かつ、公平に手続きを進めることができます。手続きにかける時間とストレスを削減できることが、遺言執行者を第三者に任せる最大のメリットでしょう。

  • 遺言執行者を選任することで、相続人の財産処分権がなくなるため、相続人の私利私欲の財産処分を禁止できる
  • 相続手続きに関して意義を主張する者が現れても、司法書士・弁護士であれば当事者として裁判で争うことが可能
  • 専門知識を有しているため、相続人の疑問や気になることも解決しながら手続きを進めることが可能
  • 遺言執行者の平均報酬はいくら?


    遺言執行者をお願いすると高いのかしら?

    一般的な遺言執行者の報酬額をまとめてみました

    銀行の場合

    最初にかかる手数料として32万4000円。その他、遺言執行手続き時に相続財産の1~3%が報酬として発生する銀行が多いようです。最低報酬額が定められており108万円~。銀行に依頼する場合は、約150万円程度~となります。

     三菱UFJ信託銀行みずほ信託銀行三井住友銀行りそな銀行
    契約時手数料32万4,000円32万4,000円32万4,000円32万4,000円
    相続財産:5000万円以下2%2.16%2.16%
    相続財産:5000万円~1億円1.5%1.836%1.62%1.62%
    相続財産:1億円~2億円1%1.08%1.08%1.08%
    相続財産:2億円~3億円0.8%1.08%0.864%1.08%
    相続財産:3億円~5億円0.6%0.648%0.648%0.54%
    相続財産:5億円~10億円0.5%0.432%0.432%0.54%
    相続財産:10億円超0.3%0.324%0.324%0.54%
    最低報酬額162万円108万円108万円108万円

    ※ 遺言執行の報酬額の基準となる相続税評価額は、課税価格の特例等の減額措置前の評価額となります。


    債務額は減額されないので注意が必要じゃ

    弁護士の場合

    法律事務所によってかなりのバラつきがありますが、20万円前後から100万円前後となっている事務所が多いようです。

    そして、銀行と同じく財産に応じて相続財産の1~3%となっている事務所が多いです。

    参考資料

    相続財産が5000万円のときの弁護士遺言執行者報酬
    (平均報酬は60万円前後)

    報酬額指定弁護士の割合
    20万円前後18.3%
    40万円前後27.1%
    60万円前後18.6%
    80万円前後8.2%
    100万円前後19.6%
    120万円前後2.1%
    その他6.0%

    ※日本弁護士連合会の『市民のための弁護士報酬の目安』から抜粋

    司法書士等その他の専門家が遺言執行者になった場合

    一般的に30万円から相続財産の1%程度と言われています。

    司法書士や弁護士などの専門家の報酬金額は事務所によってバラバラ。報酬額が高いからといって、特別なサービスを行ってくれるわけではありません。誰が行っても、基本的に行う手続きは同じだからです。

    ただし、相続に詳しい方の場合は必要な手続きを迅速に行えたり、必要なアドバイスを受けながら相続手続きを進めることができます。
    税理士なら相続税に強い税理士、相続案件を多く担当している司法書士、相続に強い弁護士……など、専門家の中でも相続に詳しいかどうかは各事務所によって異なります。


    美味しいお魚が食べたいときは、ファミリーレストランよりお寿司屋さんに行くのと同じだね


    一緒にしないで

    相続の相談をした時に、専門用語ではなくわかりやすく丁寧に説明をしてくれるか?少額であっても嫌な顔をせずに対応してくれるか?など、依頼をする前に信頼関係が築けるかどうかを、しっかり確認しておきましょう。

    各遺言執行者の特徴まとめ

    ●銀行は、報酬が高い。ただし、安心感がある
    (安心感があるだけで特別なことをしてくれるわけではない)

    銀行

    ●弁護士も報酬は高い。ただし、弁護士は相続人同士でモメた時の訴訟対応がすぐできるという利点がある

    弁護士

    ●司法書士は、報酬が安く抑えられる。訴訟対応もすべてできるわけではないが書面を作成するなど対応することができる

    ●その他の専門家(行政書士など)は、報酬が安くても訴訟対応ができない

    遺言執行者に関する疑問


    遺言執行者を選任するのにトラブルになりやすいのはどんなことだろう?

    遺言書に遺言執行者の報酬の記載がないのに相続が発生した場合

    遺言書で遺言執行者の報酬の記載がなかった場合は
    相続人全員と遺言執行者とで報酬を決めることになります。

    ただし、遺言の内容に納得していない相続人がいると報酬の合意ができません。

    遺言執行者の報酬について、相続人間でモメた場合

    その場合は、家庭裁判所で遺言執行者の報酬を決めることになります。

    家庭裁判所では、事案をみて、業務量等を確認した上で報酬を決めます。
    隠し子を認知するなどの身分関係等特殊の事情を含む場合には、協議をして報酬が追加になることも。また、遺言執行をする際に裁判等が必要となる場合には、別途訴訟費用が追加になることがあります。

    なお、遺言執行者の報酬は相続財産(遺産)から支払うことになります。相続人の財産から報酬を支払うわけではありません。


    通常は、遺言執行者の報酬や必要経費を差し引いた金額を相続人に引き渡すことが多いぞ。顛末書(てんまつしょ)や報告書をあわせて提出してもらうと、明細が確認できてトラブル防止になるぞよ

    遺言執行者が貸金庫を開ける場合

    遺言の内容に「貸金庫開披の件」が記載されていないと、金融機関によっては遺言執行者が手続きを進めることができません。金融機関は、基本的に例外事例を認めたくありません。このため、ルールに基づく遺言内容が確認できないと遺言執行者であっても遺言内容を実現できないケースもあります。


    貸金庫に何が入っているかは開けてみないとわからないのじゃ。遺言執行者ひとりで開けさせるのはトラブルに発展するリスクが高いと考え、金融機関は認めたがらないことが多いのじゃ

    実務上は、相続人のうち貸金庫の保管物を把握している人に立ち会ってもらったり、相続人から委任状をもらい対応することもあります。

    遺言を使った死亡保険金の受取人変更手続き

    保険法の施行により遺言書を用い死亡保険金の受取人を変更することができるようになりました。遺言書に、「保険証券に記載されている受取人は妻のAだが、受取人を娘のBに変更する」という内容を記載すれば問題ありません。ただし、保険会社へ受取人変更の連絡をしていないと、変更前の受取人で保険金の支払い手続きが進められてしまいます。

    これから遺言執行者を検討したい方、遺言書の作成を検討している方へ

    「遺言執行者を依頼したい」「遺言書の作成を依頼したい」など、遺言執行に関するお問合せを承っております。特に、遺言書作成時に遺言執行者の記載を忘れてしまうことで相続人の手間が増えてしまうケースがあります。


    一言加えておけば、家族が争いにならずに済んだのに……

    遺言書が適正にかかれなかったために起きてしまう争いもあります。せっかく、遺言を残されるのであれば、残されたご家族にとっても、ご自身の最期の想いを伝えるためにもお互いにとって一番良い遺言書を残していただきたいです。

    遺言執行に関して相談したい方、「遺言書を書いてみようかな」と思われた方は、ぜひ、お気軽にご連絡をくださいませ。相続の専門家として最善の方法を一緒に考えご提案させていただきます。

    本日は、遺言執行者とは?遺言執行者の平均報酬についてご紹介しました。ご参考になれば幸いです。

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