遺言控除がスタート?遺言書で相続税が安くなる「遺言控除」とは


遺言控除という相続税の新たな控除が検討されているぞ。平成29年の税制改正に向けて大注目じゃ

政府・与党は、2015年7月に遺言による相続手続きにおいて、一定の条件を満たす場合、相続税の基礎控除金額にプラスして控除される「遺言控除」の導入する方針を発表しました。

遺言控除とは?新制度の概要

政府 相続税に「遺言控除」検討 在宅介護の促進後押し
政府・与党は2015年7月7日、有効な遺言による相続を条件に、一定額を相続税の基礎控除額に上乗せして控除する「遺言控除」を新設する方針を固めた。

遺言を普及させて遺産相続をめぐる紛争を抑止し、若い世代へのスムーズな資産移転を図るほか、在宅介護の促進などを狙っている。早ければ平成29年度税制改正での実施を目指す。

7月8日の自民党「家族の絆を守る特命委員会」(古川俊治委員長)の会合で、葉梨康弘法務副大臣が政府内の検討状況を説明する。

相続税は、遺産総額から基礎控除額(今年1月から3,000万円+法定相続人1人当たり600万円)を差し引いた上で税率をかけて算出される。遺言控除が新設されれば、税金のかからない遺産が増える。制度設計は今後詰めるが、控除額は数百万円を軸に検討する。仮に300万円の遺言控除であれば、30万~165万円の減税となる。

引用:産経ニュース

近年増えている相続トラブルの回避と次世代へ資産を移すことが目的。

「遺言を書けば相続税が安くなる?!」と聞けば、生前から相続対策に取り組む方も増えるかもしれません。

そもそも、なぜ、遺言控除が検討され始めたのか?

遺産相続のトラブルは年々増加しており、そのうち「遺言書があれば」相続争いを避けれたケースがあるのも事実。

政府としては、高齢化社会で年々増加する相続件数、このなかでトラブルに発展してしまう「争族」を減らそうと、遺言控除の新設を検討し始めました。

相続関係のトラブルが増えている

相続争い件数

上記は家庭裁判所における相続関係相談件数の推移です。年々増加傾向となっており、平成24年度は17万4,494件の相談がよせられました。


相続争いなんて、お金持ちの世界の話。うちには関係ないんじゃない?

遺産額別の調停件数

遺産相続なんて資産家の世界の話……と思われる方が多いのですが、実際は、相続財産が5000万円以下の一般的な家族の相続争いが全体の3/4を占めます。

うちも相続で問題が起きる可能性があるのね。嫌だ~~

遺言書を作成する人は増えているものの、まだ少数

遺産相続の割合は法律で定められています(法定相続分)。この割合に従わずに、遺産を分配するには遺言書の作成が不可欠です。遺言書を作成するにはいくつか方法がありますが、公的に把握できる遺言公正証書の件数は10万件を突破。年々増加しています。

【参照記事】>> 遺言とは?3種類の遺言書

 遺言公正証書件数
平成17年6万9,831
平成18年7万2,235
平成19年7万4,160
平成20年7万6,436
平成21年7万7,878
平成22年8万1,984
平成23年7万8,754
平成24年8万8,156
平成25年9万6,020
平成26年10万4,490

遺産相続のトラブルを目にする機会も増え遺言書を作る人が増えたものの、平成26年の死亡者数は約127万人。まだ8.2%の方しか公正証書遺言を作成していません。
自筆証書遺言・秘密証書遺言を作成する方もいらっしゃるので、遺言書を作成者数はもう少し増えますが、それでも全体の総数から考えると、遺言書作成者はまだまだ少数派と言えるでしょう。

遺言作成時に相続戦略を考えることができる

遺言書を作成するには相続財産をどのように分配すべきか指定しなければなりません。

相続財産とは預貯金や不動産、生命保険などプラスの財産だけでなく、借金や住宅ローンなどの負債も含まれます。

誰に、どの財産を残すのか? 相続発生時に慌てないよう、事前に準備をしておくことが大切。そのキッカケとなるのが、遺言書作成時なのです。

■ 遺言書作成時に考えるべきこと

  • 相続財産の確認(預貯金、不動産、生命保険など。借入、住宅ローンなどの負債も)
  • 法定相続人が誰か
  • 法定相続人以外にも財産を分け与えたい人がいるか?
  • 誰にどの財産を与えるか?
  • 相続人にお願いをしたいこと
  • 認知しておきたい子どもがいるか?
  • 廃除したい相続人がいるか?
  • 遺言書では相続財産をどのように分配するかだけでなく、子どもの認知、相続人の廃除も可能。暴力など相続人としてふさわしくないと判断する人は遺言で相続人からはずすことができます。また、「相続財産を渡す代わりにペットの世話をすること」など、条件をつけることもできます。

    場合によっては、相続開始前(生前)から、教育資金や住宅購入費用の援助で計画的に贈与を行うことも選択肢のひとつ。遺言控除の導入の検討が進んでいるのも、このように遺言作成を通して、早めに相続対策に取り組みトラブル発生を抑止したい、という目的があります。

    遺言控除の活用ポイント

    遺言控除を活用するための条件はまだ明確されていません(2016.8.3現在)。ただし、名前のとおり「遺言」があることが前提。現時点では、どのように遺言を準備したら良いのかご紹介します。

    手軽な自筆証書遺言の作成

    まず手軽に遺言書を作成するには自筆証書遺言がおススメ。遺言書作成セミナーや、遺言書作成キットなど、遺言作成のサポートサービスも増えてきています。

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    費用もかからず手軽に作成できる自筆証書遺言。自由に書き換えもでき便利な反面、形式が規定を満たしていなかったり記入ミスがあると無効になってしまう可能性もあります。
    また、自宅等で保管のため、紛失や死亡後に遺族に発見してもらえないケースも。しっかりと運用するにはいろいろ気を付けることがあるので注意が必要です。

    自筆証書遺言は発見しても開封してはいけないのよね。検認の手続きが必要だわ

    安心な公正証書遺言の作成

    公正証書遺言は公証人が立会い作成するため、遺言作成時の本人の意思能力や形式の不備で遺言書の効力が認められない可能性がありません。また、死後の検認手続きも不要なので、相続人の方の手続き時間も削減することが可能。お金がかかるものの、その分、しっかりとした遺言書を残すことができる安心感があります。

    >> 公正証書遺言とは?書き方を確認したい方はこちら

    遺言書を作成すれば安心という訳ではない

    「遺言書を作成すれば安心」
    「遺言書に自分の想いはすべて託した。あとは家族で何とかしてくれる」
    「うちの家族に限ってもめることはないだろう」

    そんなことを思って遺言書を作成する方もいらっしゃるようですが、残念ながら遺言書を作成しただけでは相続トラブルの芽をつむことはできません。むしろ、遺言書があるために相続人間で納得しない人がいた場合、争いが泥沼化してしまう可能性もあるのです。

    大切なことは、相続人の「納得感」

    相続財産を完全に平等にわけることはとても大変です。相続人ひとりひとり置かれている環境も、思い入れも異なるので、多少の差が生まれるのはあたりまえ。

  • 長男Aは、家を守って欲しいから実家(不動産)を託す
  • 次男Bは、住宅購入時に頭金の援助をしたので、預貯金〇万円で了承をして欲しい
  • 長女Cは、結婚時に援助をしたので、預貯金〇万円を渡す
  • など、相続財産の分配が相続人ごと異なっていたとしても、その理由に納得できるのであれば、相続時にもめる可能性は低いでしょう。

    万が一、上記のような提案に納得ができない相続人がいた場合は、相続人も含めてどのような遺産分配が適切か一緒に話し合いを持つことも有効。大切なことは、しっかりと話し合いお互いの考えや提案を聞くこと。相続発生後には、このような時間を持つことができないので、「元気なうちから、気まずい……」という気持ちをグッとこらえて、家族と相続について話し合う機会を持つことをおススメします。

    もし、可能であれば相続人の配偶者も同席させるとベター。相続トラブルに発展するケースでは、相続人の妻や夫などの配偶者が反論する場合が多いからです。

    相続人と配偶者も同席させて、納得できるまで遺産分割について話し合うのじゃ。生前に合意がとれれば死後もめるケースは少ない

    遺言控除の最新ニュース

    遺言控除は平成29年の税制改正に向けて準備が進められています。導入されれば相続税対策として、ぜひ活用したい制度です。「やさしい相続対策」でも最新情報をチェックし、また、記事でご紹介していきたいと思います。

    タグ: 遺言控除
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