家族が死亡!銀行の預金をおろす手続きまとめ
記事の最終更新日:2016年07月17日
カテゴリ:相続手続き
家族が死亡したとき、預金口座はどうなるの?葬儀費用とか、いろいろとお金がかかるので気になるわ
良い質問じゃ。口座名義人の死亡が確認されると預金口座は一旦凍結されてしまうのじゃ。口座の解凍と解約方法を紹介するぞ
【参照記事】故人が使っていた銀行口座がわからないときの手続きはこちら
もくじ
口座名義人が死亡すると預金口座は一時的に凍結される
銀行や郵便局などの金融機関は口座名義人の死亡を確認すると、口座名義人の預金口座の取引きを中止します。引き出しも預け入れはもちろん、口座引落しもできなくなります。この預金口座が凍結された状態は遺族が必要な手続きを行うと解除することができます。
なぜ、銀行口座は凍結されるの?
銀行口座の預貯金は相続財産。相続税の課税対象であり、相続人による遺産分割の対象でもあります。このため、財産がいったいいくらあるのか?確定をさせなければならないため銀行側は誰も預貯金を動かすことができない状態を作る必要があります。
また、一部の相続人が勝手に預貯金を引き出し相続財産を使ってしまうと、他の相続人とのトラブルになるでしょう。トラブルに発展してしまうと、銀行側にも払い戻しをしたクレームが入る可能性があるため、銀行側は遺産分割協議が確定するまで故人の銀行口座をいったん凍結させて、いっさいの取引きを停止するのが原則。配偶者や子どもであっても、故人の預金を引き出すことができません。
口座引落しの支払いもできないので要注意
電気料金などの公共料金、クレジットカードの支払い時に亡くなった家族の銀行口座を指定していた場合は、口座凍結とともに引落しがかからなくなります。場合によっては支払いが遅れることで遅延損害金などの違約金が発生することもありますので、登録口座の変更手続きも忘れずに進めましょう。
葬儀費用など、必要なお金を引き出すことは可能
例えば、世帯主が亡くなり、家族のお金が亡くなった方の預金口座に入っていた場合、葬儀費用など今すぐ必要なお金が引き出せないと大変なことになってしまいます。
遺産分割協議が確定するまでは亡くなった家族の預金口座は相続人全員の財産。このため、相続人全員の合意がなければ引き出すことはできません。しかしながら、葬儀費用などすぐに必要なお金は例外的に引き出すことができます。
引き出し可能額は、銀行によって金額が異なりますが、100万円~150万円程度が限度額のようです。
必要な書類も銀行ごとに異なります。一般的には下記の書類が引き出し時に必要。忘れずに準備をしておきましょう。
【 預金口座引き出し時の必要書類 】
1)法定相続人全員の戸籍謄本
2)故人の戸籍謄本 or 除籍謄本・原戸籍謄本(法定相続人の範囲を確認するため)
3)法定相続人全員の印鑑証明書
4)葬儀費用見積書など支払い用途
5)銀行で手続きを行うものの身分証明書
※ その他、預金通帳やキャッシュカード、実印、銀行印なども持参すると良いでしょう。
預金口座の預貯金を全額引き出す手続き
相続手続きとして銀行口座の払い戻し等を行います。これも銀行によって方針が異なりますが、一般的に、遺言書の有無で必要な書類が異なるようです。
遺言書がある場合
遺言書がある場合の必要書類は下記のとおりです。
【 遺言書がある場合の必要書類 】
1)家庭裁判所の検認が済んでいる遺言書または、公正証書遺言
2)故人の戸籍謄本
3)受遺者・遺言執行者の印鑑証明書
4)遺言執行者選任審判書
5)受遺者・遺言執行者の実印・銀行印
6)預金通帳・証書等
1)家庭裁判所の検認が済んでいる遺言書または、公正証書遺言
遺言書には3種類あり、秘密証書遺言、自筆証書遺言の場合は必ず「検認」手続きが必要です。
【参照情報】
遺言とは?3種類の遺言書
銀行では検認されたことを確認する書面も必要なので、遺言書だけを持ち込んでもいけません。まずは、家庭裁判所へ遺言書の検認手続きを行い、その後、銀行へ向かうようにしましょう。
家庭裁判所で遺言書の検認手続きが完了すると検認済証明書が交付されます。この書類を持参することを忘れずに。
検認調書謄本は検認手続き完了後、2~3日経つと、必要に応じて家庭裁判所で発行していただけます。手に入るまで時間がかかるものなので、あらかじめ銀行に問合せをして必要書類を確認することをおススメします。ちなみに、検認調書謄本は郵送で取得することも可能。必要に応じて手配を行うと良いでしょう。
2)故人の戸籍謄本
亡くなった家族の戸籍謄本を提出します。
3)受遺者・遺言執行者の印鑑証明書
受遺者全員の印鑑証明書と、遺言執行者が選任されている場合は受遺者全員に加えて遺言執行者の印鑑証明書を提出します。
全員の印鑑証明書が必要なことがポイント。相続人が増えると書類を集めるのも大変なので、早めに案内をしておきましょう。
印鑑証明書は発行日より6ヶ月以内のものの用意が必要。なお、融資取引をしていた場合は、発行されてから3ヶ月以内の印鑑証明書の提出が求められます。
海外在住の方は、印鑑証明書に代わって大使館・領事館や公証人役場(notary public)等で発行されるサイン証明書が必要です。
署名証明
日本に住民登録をしていない海外に在留している方に対し,日本の印鑑証明に代わるものとして日本での手続きのために発給されるもので,申請者の署名(及び拇印)が確かに領事の面前でなされたことを証明するものです。証明の方法は2種類です。【形式1】在外公館が発行する証明書と申請者が領事の面前で署名した私文書を綴り合わせて割り印を行うもの
【形式2】申請者の署名を単独で証明するものです。
どちらの証明方法にするかは提出先の意向によりますので,あらかじめ提出先にご確認ください。
引用:外務省 公式サイト
印鑑証明書は日本での住民登録を抹消すると同時に消されてしまいます。このため印鑑証明書は提出できませんが、印鑑証明書に代わる公的な書面が「署名証書」。2種類の形式のうち、どちらが求められるのかは銀行の判断によって異なるので事前に電話で確認をしておきましょう。
4)遺言執行者選任審判書
遺言執行者が選任されたときに交付される書類です。
なお、遺言書で遺言執行者が指定されていた場合は上記書類は不要です。
5)受遺者・遺言執行者の実印・銀行印
亡くなった家族の預貯金等の払い戻しには実印が、名義書き換えをし口座を引き継ぐ場合には、口座を引き継ぐ方の銀行印が必要です。
6)預金通帳・証書等
亡くなった家族の預金通帳・証書等の提出が必要です。貸金庫を利用していた場合は、貸金庫の鍵も忘れずに持っていきましょう。
キャッシュカード、カードローンカード、貸金庫カードは相続手続きでは使いません。同じカードはもう使えないので、ハサミなどで磁気部部分を切断して破棄して構わないようです。
遺言書がない場合
遺言書がない場合の必要書類は下記のとおりです。
【 遺言書がない場合の必要書類 】
1)故人の戸籍謄本
2)相続人の戸籍謄本(1で相続人を確認できない場合)
3)遺産分割協議書
4)相続人の印鑑証明書
5)相続人(預金等の払い戻しを受ける方)の実印・銀行印
6)預金通帳・証書等
1)故人の戸籍謄本
亡くなった家族の戸籍謄本を提出します。
銀行によって16歳の誕生日以降、亡くなったときまでなど、必要となる戸籍謄本が異なる場合があります。必ず銀行へ確認してから準備を進めましょう。
ご年配の方だと戸籍法の改正により、戸籍を作り直した方もいらっしゃいます。その場合、作り直す前の戸籍(改製原戸籍謄本)の提出も求められる場合があります。例えば、作り直す前の戸籍に結婚などで除籍されている場合は、改正後の新しい戸籍には記載されませんので、改製原戸籍謄本が必要となります。
また、婚姻、養子縁組、死亡などにより、戸籍から抜けることを除籍と言います。場合によってはこの除籍謄本の提出が求められることもあります。
戸籍を電子化し管理している自治体では全部(個人)事項証明書を戸籍謄本の代わりとして交付してくれるケースもあります。戸籍抄本の場合は「個人事項証明書」と呼ばれるます。名前が似ているので、一応、注意しておきましょう。
亡くなった方に配偶者も子どももいなく、すでに両親も祖父母も他界されている場合、相続人は兄弟姉妹となります。ただし、この相続関係も確認をとる必要があるため、亡くなった方の両親の連続した戸籍謄本(※ 生まれたときから亡くなるときまで)の提出も必要です。
※ 銀行によって16歳の誕生日以降、亡くなるときまでの連続した戸籍の提出を求めるケースもあります。
2) 相続人の戸籍謄本(1で相続人を確認できない場合)
1の個人の戸籍謄本だけで相続人すべてを確認することができない場合、相続人の戸籍謄本も提出します。亡くなった家族の戸籍謄本と相続人の印鑑証明書で相続人の本人確認(氏名・年月日の一致)をとりますが、その確認が取れない場合に追加書類として提出します。
3) 遺産分割協議書
相続人全員の実印が押印された遺産分割協議書を提出します。実印が正しいことを証明するために印鑑証明書も添付。相続人全員分の印鑑証明書の準備をお忘れなく。
4) 相続人の印鑑証明書
すべての相続人の印鑑証明書が必要です。発行日より6ヶ月以内にものを準備しましょう。ただし、銀行と融資の取引があった場合は、発行日より3ヶ月以内の印鑑証明書が必要となります。
先ほどもご紹介した通り、相続人のなかで海外に居住している方は、印鑑証明書に代わる署名証書を準備しましょう。
5) 相続人(預金等の払い戻しを受ける方)の実印・銀行印
亡くなった方の預金等の払戻の場合は実印、名義書替をする場合は引き継ぐ方の銀行印が必要です。
6) 預金通帳・証書等
亡くなった家族の預金通帳・証書等を提出。キャッシュカードなどのカードは不要です。
凍結された口座からお金をおろすのは大変。銀行はどうやって死亡を知るの?
死亡届を提出しても銀行は知る由もありません。役所と連動をしていて銀行側から一方的に亡くなった家族の預金口座を凍結することはありません。家族の申し出や新聞の訃報欄、地域の訃報案内などから情報を得たときに口座の凍結手続きを行います。地域密着型の信用金庫や地方銀行は町内放送でも情報を得ることがあるようです。
まとまった預貯金をおろす場合に、今は窓口での本人確認が求められています。このときに、預金口座名義人の死亡が伝えられることが多いようです。
銀行に無断でキャッシュカードを使い続けることはできる?
実際、家族として口座管理を任されていた場合は可能です。ただし、亡くなった方の預金口座は相続財産。他の相続人の同意なしに勝手に使ってしまうことはトラブルの元です。あとから余計手間が増えることになるので勝手に引き出すことはやめましょう。
預金口座の手続きのちょっとしたコツ
預貯金等を引き出すには戸籍謄本や印鑑証明書など大量の書類が必要になります。この書類の取得には手数料がかかり、意外と大きな出費に。銀行によっては原本を手続き終了後に返してくれるケースもありますので、提出時に「原本は返していただくことは可能ですか?」と、確認してみましょう。
チリも積もれば山となる。
相続手続きでは、山のように解約や名義変更の手続きが必要となります。そのたびに書類集めに奔走しなければならないのは大変です。できるところは節約しながら手続きを進めていけたらよいですね。
平日に何度も銀行に行くことが難しい場合
突然、家族が亡くなったとき、寂しさと悲しさで苦しい日々が続くと思います。そんななか、葬儀や相続の手続きなどやらなければならないことがたくさん。平日に何度も銀行に足を運び、戸籍謄本など慣れない書類集めの時間を割くのは難しいかもしれません。
そんな方は、相続の専門家へ相談してみることをおススメします。相続手続き丸投げパックでは、一律料金のわかりやすい明朗会計で、面倒な相続手続きを専門家にお任せすることができます。
あまり時間がない方や慣れない書類収集や手続きの多さに疲れてしまった方は、専門家の力を借りることも検討してみてはいかがでしょうか?
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記事の最終更新日: 2016年07月17日