事実婚を選ぶと相続に不利ってホント?
記事の最終更新日:2016年07月08日
カテゴリ:ニュースとコラム
事実婚は法的な婚姻関係でないため、パートナーが(あなたに相続すると書いた)遺言書を残さないと相続人になれません!
事実婚を考えている女性の方は、必ず確認しておくのじゃ
もくじ
事実婚とは?
事実婚とは、婚姻届を提出せず夫婦生活・関係を送るということです。日本ではまだ少数派ですが、海外では事実婚が一般的に認められている国もあります。例えばフランス。フランスでは、入籍をせずにともに暮らす事実婚カップルが多いです。これは、入籍をしなくても、連帯市民協約(PACS)という取り決めを行うと、税制面、社会保障面で入籍した夫婦と同等の扱いとなります。日本ではこのような制度が認められていなく、籍を入れるかどうか、で、ふたりを取り巻く環境が大きく異なります。
なぜ、入籍をしないのか?
「夫婦別姓が良いから」
「家同士のつながりや関係が面倒だから」
「奥さんという役割が嫌だから」
「古い制度に縛られたくないから」
「結婚できない事情があるから」
などの理由から、婚姻届を出さずに夫婦として生活し子どもを育てる男女がいます。事実婚や内縁の妻……と聴くと、独自の考えの持ち主か、わけアリ…といったイメージを覚えますが、実際のところは、どうなのでしょうか?
事実婚のメリット
多くの男女が、夫婦別姓のために事実婚を選ぶそうです。学生の時代は「好きな人の苗字になるんだ……」「(姓が元になっている)あだ名が変わっちゃうな~」などと憧れたものですが、仕事をしていく上では、障害になると考える人もいるようです。
また、カトリック教徒など宗教上「離婚」が許されていないケースもあります。離婚ができないのであれば、最初から結婚はしないでおこう、という考え。とてもドライですが、合理的な考え……。海外で事実婚を選ぶカップルはこのような理由の方もいらっしゃるようです。
事実婚のデメリット
※余名半年以内と診断された際に、受け取ることができる保険金というものがありますが、その受取人になることができません。
事実婚は法的な婚姻関係ではないため、遺言書を残していない場合・夫が事故や病気で突然亡くなってしまった場合も、相続人になれません。遺言によって相続は可能できますが相続税がかかり、他の相続人とトラブルに発展するケースも多いです。
事実婚の大きなデメリットは、こどもと相続問題。日本では法的に家族ではないのじゃ
以前までは、事実婚カップルの間に生まれた子ども(=非嫡出児)は、婚姻した夫婦の子ども(=嫡出児)の1/2しか、相続権がありませんでした。しかし、2013年の民法改正により相続割合が同等に。非嫡出児と嫡出児は同等に相続できる権利を得ました。
ただ、事実婚夫婦に関しては別問題。いまだ、法的には夫婦として認められていないため、事実婚夫婦の夫が亡くなっても妻に相続権はありません。
どんなに長く連れ添って一緒に暮らしてきても、婚姻届を出していないだけで、夫の財産を相続する権利がないのです。逆に言うと、長年、全く口をきかず、ずっと別居状態でも婚姻関係が続いていれば、相続時に妻は遺産を相続する権利があります。
事実婚でも遺産相続をさせたい場合
遺言書を書いて内縁の妻に財産を渡す
遺言を書くことで財産を残すことはできます。しかし、夫の父母や祖父母が生きている間は、遺言を書いたとしても2/3しか、相続させることはできません。
また、一般的に法定相続人とトラブルに発展するケースが多いのも現状。法定相続分には遺留分があります。「遺留分を超えて、内縁の妻に相続させたい」という遺言は認められません。
遺留分とは相続人に認められた最低限の相続する権利のこと。兄弟姉妹以外の法定相続人に最低限保証された権利です。
生前贈与で内縁の妻に財産を渡す
相続時にできることは限られてしまうので、生前贈与を活用するのもひとつの手。年間110万円までは贈与税がかかることなく財産を分け与えることができるため、早めに取り組むと良いでしょう。
【参照記事】
■ 生前贈与で相続税対策
■ 暦年贈与とは?贈与税がかからない金額は1人110万円以下
まとめ
事実婚が相続において、不利になるか?と聞かれると、現在の法制度では圧倒的に不利です。ただし、これは当事者の考え方やふたりの置かれている状況によって異なるでしょう。ご家族一組ごと環境も状況も異なるので、一概に意見を述べることはできませんが、お話を伺いながら、一緒に最善の方法を考えることは可能です。
「事実婚を選んだけど、相続対策をどうしよう……」という方は、一度、お話を聞かせていただけたら幸いです。
また、事実婚を選ぼうとしている方には、日本では上記のようなデメリットもあることを頭に入れて選択していただけたらと思います。
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記事の最終更新日: 2016年07月08日